神社やお寺に行くと、つい引きたくなる「おみくじ」。
でも、もし悪い結果が出てしまったら……「もう一回引いたらダメかな?」と悩んだことはありませんか?
実は、おみくじを2回引くことには昔からの考え方やマナーがあり、必ずしも“いけないこと”ではないんです。
大切なのは「結果」ではなく、その中に込められた“メッセージの受け取り方”。
この記事では、おみくじを2回引くとどうなるのかを中心に、正しいマナー・意味・縁起の捉え方をやさしく解説します。
おみくじを通して、前向きな気持ちで新しい一年を迎えられるよう、一緒に見ていきましょう。
1. おみくじの基本と2回引きたくなる理由

おみくじの起源と本来の意味
おみくじの始まりは、平安時代の「神意を占う儀式」にまでさかのぼるといわれています。神様の意志を伺い、物事の方針を決めるために引かれていたのが原型です。やがて時代とともに、庶民の間でも参拝の際に引けるようになり、今の「運勢を見るおみくじ」の形になりました。
つまりおみくじは、もともと「運を占う道具」ではなく、「神様から今の自分に必要な言葉を受け取るためのもの」。迷いや悩みのあるときに、背中を押してくれる存在として昔から親しまれてきました。
占いではなく「神様からのメッセージ」
おみくじは、未来を断定する“占い”とは少し違います。そこに書かれている言葉は、神様や仏様からのメッセージと考えられています。たとえ望んでいなかった結果が出たとしても、それは「気をつけるべきこと」や「見直すべきこと」を教えてくれるサインなのです。
たとえば、凶が出ても「慎重に進めばうまくいく」と書かれていることがあります。これは「悪い」結果ではなく、「今は注意が必要」というアドバイス。おみくじの言葉を、前向きな指針として受け取ることが大切です。
吉凶の順番と正しい解釈
おみくじには「大吉」「中吉」「小吉」「吉」「末吉」「凶」などの表現があります。神社によって順番が少し異なる場合もありますが、一般的には「大吉」が最も良いとされ、「凶」が注意を促す意味を持ちます。
ただし、吉凶はあくまで“目安”であり、本当に大切なのはその下に書かれている本文の内容です。恋愛や仕事、健康、学業など、項目ごとにアドバイスが書かれています。それを通じて「今の自分を見つめ直す」ことこそが、おみくじの本来の役割といえます。
なぜ2回引きたくなるのか?人の心理を解説
おみくじを引いて思わしくない結果が出ると、「もう一度引いたら良い運勢になるかも」と思ってしまうことがあります。これは、誰にでもある自然な気持ちです。人は不安な結果よりも安心できる結果を求めるものだからです。
また、1回目に引いた内容が「自分の今の気持ちと合っていない」と感じると、もう一度確かめたくなることもあります。おみくじを2回引きたくなるのは、未来をより良い方向に変えたいという“前向きな心理”から生まれる行動でもあります。
神社の考え方|2回引きは本当にNG?
神社やお寺によっては、「おみくじは1回だけ」という考え方をしているところもあります。これは、何度も引くことで「結果を選ぶ」ことが目的になってしまい、本来の意味が薄れてしまうのを防ぐためです。
一方で、「日を改めて引く」「別の神社で引く」ことを否定するところはほとんどありません。そのときの心の状態や環境が違えば、受け取るメッセージも自然と変わるからです。おみくじは“今の自分”に必要な言葉を届けてくれるもの。そのときどきで違う結果を得ても、それは新しい気づきとして大切にしてよいのです。
「引き直し文化」はいつから?地域による違い
実は、「引き直し」や「2回引く」という行為は昔から一定数存在していました。特に江戸時代以降は、おみくじが庶民に広がり、祭りや初詣の際に気軽に引けるようになったことで、複数回引く人も増えたといわれています。
また、地域によっては「一年の始まりに神社を巡り、いくつかの神社でおみくじを引く」という風習もあります。これは「いろいろな神様の言葉をいただく」という考え方から生まれたものです。
このように、おみくじの文化や受け止め方は時代や地域によってさまざまです。大切なのは「何回引くか」ではなく、「そこから何を感じ、どう行動に移すか」。おみくじは、あなたの心を整えるためのやさしい道しるべなのです。
2. おみくじを引くときのマナーと作法

参拝からおみくじを引くまでの流れ
おみくじを引くときは、まず神様や仏様にきちんとご挨拶をすることから始めます。いきなりおみくじを引くのではなく、先に本殿や本堂にお参りしてから引くのが基本です。
参拝の際は、心の中で「今の自分に必要なメッセージをいただけますように」と願うとよいでしょう。おみくじは“神様との対話”ともいえるもの。静かな気持ちで引くと、より意味のある言葉に出会えることが多いです。
2回目を引くならおすすめのタイミング
おみくじは、1回で十分とされることが多いですが、どうしてももう一度引きたい場合は「日を改める」ことをおすすめします。たとえば、初詣と節分、または別の神社を訪れたときなど、時間や場所を変えると良いでしょう。
同じ日に何度も引くのは避けたほうが無難です。短い間に何回も引くと、神様のメッセージを“選ぶ”ような形になってしまい、意味が薄れてしまうためです。どうしても引き直したいときは、まず最初のおみくじの内容をよく読んで、心に留めておくことが大切です。
結果が悪かったときの正しい行動
おみくじで凶や末吉が出ると、つい落ち込んでしまうものです。しかし、悪い結果も「注意するべきことを教えてくれるありがたいお言葉」として受け止めましょう。
もし気持ちを切り替えたいときは、おみくじを神社の指定の場所に結びます。これは「悪い運を神様に預ける」という意味があります。逆に、大吉や良い結果の場合は、自宅に持ち帰って日々の励ましとして大切に保管するのが一般的です。
おみくじを結ぶ場所と意味
多くの神社には「おみくじ掛け」や「木の枝」など、結ぶための場所が用意されています。ここに結ぶことで、「結果を神様にお返しし、これからの導きを願う」という意味が込められています。
結ぶ位置には特別な決まりはありませんが、一般的には「高い位置」=願いが天に届く、「低い位置」=地に根づく、という考え方もあります。どちらも間違いではないので、気持ちを込めて結ぶことが何より大切です。
複数の神社で引く場合のマナー
複数の神社をお参りする際に、それぞれでおみくじを引くのは問題ありません。それぞれの神様が違うメッセージを届けてくれると考えられています。
ただし、同じ日に多くの神社を回って何度も引く場合は、「すべての結果を比べて良い方を信じる」というような引き方は避けましょう。どの結果も、その神社での出会いの中で意味があるものです。1つひとつを丁寧に受け止めることが、正しいおみくじとの付き合い方です。
お寺と神社、両方で引いても大丈夫?
おみくじは神社だけでなく、お寺でも引くことができます。両方で引くこと自体は問題ありません。神道と仏教では信仰の形が異なりますが、「心を整える」という点では共通しています。
神社では神様の導きを、お寺では仏様の教えを受け取るものとして、場所ごとの違いを感じながら楽しむとよいでしょう。それぞれの言葉が、今のあなたに必要な気づきを与えてくれるはずです。
3. おみくじの種類と2回引きの解釈

吉凶おみくじ・恋みくじ・学業みくじの違い
おみくじには、運勢全体を示す「吉凶おみくじ」のほか、恋愛・学業・健康・仕事など特定の分野に焦点を当てた種類もあります。たとえば「恋みくじ」は縁結びや相性を、「学業みくじ」は努力や集中力をテーマにした内容が多いのが特徴です。
神社やお寺によって表現が異なるため、同じ「大吉」でも書かれている言葉の方向性が違うこともあります。結果の良し悪しよりも、「今の自分に必要なメッセージはどこか」に注目すると、おみくじの言葉をより深く味わえます。
結果が違うときの考え方
おみくじを2回引いて結果が違うと、どちらを信じればいいのか迷ってしまいますよね。でも、2枚のおみくじは「どちらが正しい・間違い」というものではありません。それぞれの結果が、その時々のあなたの心の状態を映していると考えるのが自然です。
たとえば、1回目のおみくじで厳しい言葉が書かれていたなら、それは「慎重に進みなさい」というサイン。2回目が前向きな内容なら、「努力を続ければ道が開ける」という励ましのメッセージかもしれません。結果を比べるよりも、両方から共通して伝わるテーマを探すことが大切です。
2枚目を“補足メッセージ”として読むコツ
2回目に引いたおみくじは、最初の結果を否定するものではなく、「補足のアドバイス」として受け止めましょう。1枚目で感じたことをもとに、さらに深く自分を見つめ直すきっかけにするのです。
たとえば、最初のおみくじで「焦らず時を待て」と書かれていて、2枚目に「準備が整えば成功する」とあったなら、それは同じ方向を示しているともいえます。2枚のおみくじを“対話”のように読むことで、より自分に合ったメッセージが見えてくるでしょう。
凶を引いたらどうする?前向きに捉える方法
おみくじで「凶」が出ると驚くかもしれませんが、実はそれほど珍しいことではありません。凶は「悪いことが起きる」という予言ではなく、「注意すれば避けられることがある」という教えのようなものです。
むしろ、凶のおみくじを引いた人のほうが、日常の小さな行動に気を配り、慎重に過ごすことができます。その結果、トラブルを未然に防ぐことも多いのです。凶を引いたときは、「今の自分を整えるチャンスをもらえた」と前向きに捉えると、心が軽くなります。
おみくじノート・記録のすすめ
最近では、おみくじを写真に撮ったり、ノートに書き写したりする人も増えています。あとから読み返すことで、「この時期はこう感じていた」「今の自分と同じテーマが書かれている」といった気づきが得られます。
おみくじはその瞬間だけでなく、時間が経つほどに意味が深まることもあります。神様の言葉をノートに残すことで、自分自身の成長を感じられるでしょう。
神様との“対話”としてのおみくじ
おみくじを何度か引くうちに、「今の自分に必要な言葉が届いている」と感じることがあります。これは偶然ではなく、神様や仏様との小さな“対話”のようなものです。
おみくじは、運勢を競うためのものではなく、心を整えるための道しるべ。2回引くことも、結果が異なることも、すべてが「気づき」へとつながっています。大切なのは、そこから何を感じ、どう行動するかです。
おみくじの言葉を通じて、日々の暮らしや心の在り方を少しずつ見直していく。そんな穏やかな時間を過ごすきっかけにしてみてください。
4. よくある質問と神社選びのヒント

Q1:おみくじを2回引くと運気が下がるって本当?
おみくじを2回引いたからといって、運気が下がるということはありません。大切なのは「どういう気持ちで引いたか」です。結果を軽い気持ちで“やり直す”のではなく、「もう少し自分を見つめ直したい」「別の角度からメッセージを受け取りたい」という前向きな気持ちで引くのであれば、問題はありません。
おみくじは神様からの“導き”です。何度引くかよりも、引いた言葉をどう受け止めるかに意味があります。
Q2:悪い結果は捨ててもいいの?
おみくじはただの紙ではなく、神社やお寺で授かった「神様の言葉」です。そのため、ゴミ箱に捨てるのは避けたほうがよいでしょう。悪い結果が出た場合は、境内にある「おみくじ掛け」や指定の木に結び、神様にお返しするのが一般的です。
良い結果だった場合は、持ち帰ってお守りのように大切にすると良いでしょう。財布や手帳に入れておくと、日々の指針として励みになります。
Q3:おみくじを財布やお守りに入れてもいい?
はい、問題ありません。おみくじの言葉を身近に感じたいときは、財布や手帳に入れておくのがおすすめです。毎日目にすることで、自然と意識の中に前向きな言葉が残ります。
ただし、汚れたり折れたりしないように、小さな袋やお守りケースに入れると丁寧です。大切なのは「大事に扱う心」です。
Q4:おみくじは何回まで引いていいの?
実は「何回まで」という明確な決まりはありません。神社によっては「1日1回」と案内しているところもありますが、多くの神社では特に制限を設けていません。
ただし、短期間で何度も引くと「結果を選ぶ」形になってしまうため、神様への敬意の面からも控えめにするのが望ましいでしょう。季節の節目や新しい目標を立てるときなど、意味のあるタイミングで引くのがおすすめです。
人気の神社・おみくじスポット紹介
全国には「おみくじが当たる」「言葉が心に響く」と評判の神社がいくつかあります。たとえば、東京では浅草寺や明治神宮、京都では清水寺や伏見稲荷大社などが有名です。特に浅草寺のおみくじは「厳しめ」として知られていますが、厳しい内容ほど心に残ると人気があります。
また、最近は可愛いデザインのおみくじや、動物をモチーフにした「おみくじみくじ」なども増えています。楽しみながら引くことで、より身近に神社文化を感じることができます。
神社ごとにおみくじの傾向が違う理由
神社やお寺によって、おみくじの文面や吉凶の割合が異なるのは、監修している神職や宗派の違いによるものです。たとえば、浅草寺は「注意喚起を重視したおみくじ」、一方で伊勢神宮は「穏やかで励ましの多いおみくじ」といわれています。
どのおみくじにも共通しているのは、「人がよりよく生きるための教えが込められている」という点です。引く場所が違っても、どれもそのときの自分に必要な言葉を届けてくれます。神社ごとの個性を感じながら、おみくじ巡りを楽しむのも素敵ですね。
5. まとめ・おみくじを楽しむための心構え

おみくじは“結果”より“気づき”を受け取るもの
おみくじの本来の目的は、未来を占うことではなく「今の自分に必要な気づきを得ること」です。良い結果に喜ぶことも、悪い結果に落ち込むことも自然ですが、大切なのはその内容をどう受け止めるかです。
たとえば「気をつけましょう」と書かれていたなら、それは神様からの優しい忠告です。「焦らず進めば良い結果になる」という意味として前向きに捉えることで、心が軽くなります。
2回引くことの意味を前向きに考える
おみくじを2回引くことは、悪いことではありません。大切なのは「もう一度確かめたい」という気持ちの中にある誠実さです。1回目と2回目の内容が異なっていても、それぞれがその時の心の状態を映しています。
どちらか一方を選ぶよりも、2つの結果に共通するテーマを見つけてみましょう。そこに、今のあなたにとって必要なメッセージが隠れているかもしれません。
おみくじは“運”ではなく“導き”
おみくじは、幸運を占うものではなく、神様からの導きです。結果の良し悪しにこだわるよりも、そこからどんな学びを得るかが大切です。おみくじを引く時間は、自分と静かに向き合うためのひととき。落ち着いた気持ちで言葉を受け止めると、不思議と心が整っていきます。
おみくじを通して得た言葉を心に留め、日々を丁寧に過ごすこと。それが、運を味方につけるいちばんの近道です。

